新・今月の健康情報

2024.3.24

2022年に日本動脈硬化学会から、治療の指標となる動脈硬化性疾患ガイドラインが発表され、利用されています。動脈硬化性疾患は院長の専門領域である狭心症、心筋梗塞等の心臓疾患、脳卒中等の脳血管疾患が代表的です。この中でも加齢は避けることができず、予防には脂質異常に加え、メタボや、喫煙、高血圧、慢性腎臓病など、包括的管理が必要です。その為、生活習慣の改善、薬物療法の継続は基本であり、LDLコレステロールは140mg/dl、糖尿病単独合併なら120以下、既に糖尿病の合併症を来たすか、喫煙していれば100以下に、既に血管事故(急性冠症候群、血栓性脳梗塞)があって、家族性高コレステロール血症、糖尿病が併存する場合は70以下まで調整と設定されました。中性脂肪も食後値175まで、が設定されました。ご注意ください。
 

2016.9.12

動物由来感染症について
日本は世界有数のペット大国です。
室内飼育の比率も上昇し、より濃厚な接触の機会が増えているといえます。
一般的な犬猫以外にも鳥類、げっ歯類、爬虫類、魚類など多岐にわたり、原産国も様々です。
その中で動物由来感染症(人畜共通感染症)も日本でも数十から百種類ほどが確認されています
(犬猫の猫ひっかき病、パスツレラ症、回虫症から、フェレットの狂犬病、鳥類のオウム病、
クリプトコッカス感染、爬虫類のサルモネラ、エサ用も含めたマウスのレプトスピラ症等)。
代表を幾つかご紹介すると、サルモネラ菌は爬虫類の腸管内常在菌で爬虫類自体には無症状で、
経口感染で発熱、腹痛、嘔吐、下痢等の胃腸炎をおこします。
因みにミドリガメの菌保有率は50%以上です。
意外にも犬猫などの哺乳類も一過性の消化器症状の後に保菌動物となります。
猫ひっかき病は犬猫口腔内常在菌であるバルトネラ菌が原因であり、ひっかき傷、噛み傷から感染、
ノミからも伝播するので、ノミ咬傷でも感染が成立します。小丘疹、水泡、膿疱を生じ、
所属部位の有痛性の著明なリンパ節腫脹、食欲不振、倦怠感、発熱などが見られますが
多くは8週以内に治癒となるため、追求できずに繰り返している可能性もあります。
オウム病では鳥類の乾燥したフンを吸入したり、経口摂取してしまい感冒様症状、
頭痛、筋肉痛、倦怠感、肝脾腫、間質性肺炎等を来すクラミジア感染症です。
動物は悪くないのですが衛生観念が人間とは違います。自分や同朋のお尻をなめたりもしますので、
愛情から顔をなめられたりしても嬉しいばかりでは済まない可能性があることを
認識しておいて頂きたいものです。
節度ある接し方、また出先など、見ていない間のお子様の行動等にもご注意いただければ幸いです。

2016.6.14

つい先日、某芸能界の方の乳がんが報道されました。
がん検診が有効ながんは、日本では、子宮 頸けいがん、乳がん、大腸がん、胃がん、肺がんの五つ
とされています。逆に言うと、この5つのがん以外を見つけるため、がん検診を受けることは
あまりメリットがなく、勧められないということになります。
すべての年齢に対して、がん検診が勧められる、というわけではなく、一定の年齢以上としています。
 例えば、乳がん検診は、40歳以上の女性に2年に1度の推奨となっています。
ちなみに米国や、英国では、乳がん検診の有効性が認められる年齢を50歳から74歳までとしていて、
40歳代の検診を推奨していません
(*The U.S. Preventive Services Task Force (USPSTF): Breast Cancer: Screening
 *Independent UKPoBCS. The benefits and harms of breast cancer screening:
an independent review. Lancet. 2012;380(9855):1778-86)。  
この理由としては、40歳代の女性が定期的に乳房エックス線検査(マンモグラフィー)を受けることは、
有効性を害が上回ってしまうというのです。
前述の米国政府委託機関である米国予防医学専門委員会(USPSTF)は、
40歳代の女性がマンモグラフィーを受けることで得られる有効性はわずかなものであること、
若い女性の乳がんはマンモグラフィーに映りにくく、「陰性」なのに「陽性」と出てしまう「偽陽性」
が多く、過剰な生検(組織を取って検査する方法)を受けてしまう害が多いこと、さらに、
本来なら治療しなくてもよいがんを治療してしまうという過剰診断を指摘して、2009年より、
マンモグラフィーの推奨年齢をそれまでの40歳以上から、50歳以上としました
(2009年11月17日号(海外癌医療情報リファレンス掲載・日本語版) NCB, 「米国予防医療専門委員会(USPSTF)が乳癌検診に関する勧告を更新」)。皆様、冷静な判断をお願いいたします。

2016.5.30

子供が溶連菌感染と言われました!
このように相談してくる保護者の方がいらっしゃいます。溶連菌感染は主にのどや皮膚など体内に
普段からいる常在菌である溶連菌という細菌が感染して咽頭炎などをおこします。
喉が痛む特徴があり潜伏期は2〜5日で38度前後の発熱、舌が赤く腫れ上がる「苺舌」
と言われる所見が見られることもあります。脇の下、鼠蹊部などに細かい発疹が出ることもあります。
5歳〜15歳の学童期の小児で高く、特に4歳〜7歳に多く見られます。3歳以下や、成人では、
典型的な症状はあまりみられません。治療は抗生剤を7〜10日間服用しますが、
完治まで約2〜3週間の場合もあります。合併症としてリウマチ熱や腎炎といった、
けして侮れない疾患がありますので医師、医療機関の指示に従って、しっかりと治療することが大切です。

2016.4.20

高血圧に対する生活習慣の一つ減塩については以前お話ししましたが、、、
塩分の排出を促す栄養素はカリウムです。
体内の細胞や細胞の隙間に存在するカリウムは塩分であるナトリウムの量が増えすぎると
バランスを保つために余分なナトリウムを体外に排出するよう働きます。カリウムを多く含む食材として
野菜 パセリ、唐辛子、にんにく、しその葉、枝豆、ほうれん草があります。
果物 バナナ、干しぶどう、柑橘系(はっさく、いよかん、夏みかん)、メロン、もも、柿です。
魚 煮干し、さわら、あゆ、まあじ、ぶり、さけ、かんぱち、真鯛、ふぐ、うるめいわしです。
ナッツ類 ピスタチオ、落花生、ピーナッツ、ひまわりの種、アーモンド、カシューナッツです。
カリウムと混同しやすいのが意外やビタミンK
こちちらは骨の形成を助ける要素として認識されています。
1日の摂取量の目安は250〜300μgで多い食品としては納豆50g=470μg、
ほうれん草70g(おおよそ一鉢)=210μg、しその葉2枚=14μgなど。
骨粗しょう症の予防・治療のためにはカルシウムの多い食品(1日の摂取量目安700〜800mg)
牛乳200ml=220mg、ヨーグルト100g=120mg、もめん豆腐半丁=180mg、素干しサクラエビ5g
=100mg、ひじき10g=140mg、ししゃも2尾=140mg、小松菜80g=120mg、春菊80g=96mgなどや、
ビタミンDの多い食品(1日の摂取量目安10〜20μg)サケ100g=22μg、カレイ100g=16.6μg、
鶏卵1個=1.1μg、干し椎茸10g=1.7μgなどの同時接種で吸収のし難さを補うのがポイントです。

2016.3.17

ピロリ菌について
近年、ドックなどで話題のピロリ菌は胃がんとの関連が言われていますが、
一部他の病気の原因としても注目されています。
国立がん研究センターの集団追跡研究では1993年に血液を提供してもらった40〜69歳の男女
1万9千人を2009年まで調査。ピロリ菌+萎縮性胃炎の両方がないA群、ピロリ菌のみありのB群、
ピロリ菌+萎縮性胃炎ともあるC群、萎縮性胃炎のみありのD群にわけて罹患率を算出。
A群では10年間に胃がんになる確率が1%未満と極めて低いことが明らかになりました。
ピロリ菌が死ぬほど萎縮性胃炎が悪化したD群で罹患率が最も多かったのも注目すべき点です。
機会があれば一度ご自身でも胃の状況を確認してみては?

2016.1.13

カフェインの摂取量について
昨年12月、エナジードリンクと言われるカフェイン含有の清涼飲料水の大量摂取が疑われる20代男性の
中毒死が報告されました。国内でのカフェイン飲料による中毒死の報告は初とのことですが、
大量摂取によるめまいや血圧上昇、頻脈、頻尿等は既知の症状です。
国内ではカフェインの一日の摂取許容量の設定はありません。
欧州連合(EU)の欧州食品安全機関(EFSA)は、健康を維持するために望ましいカフェイン摂取量について、
成人では1日400mg未満に抑え、1回の摂取量が200mgを超えないようにするべきとする提言しています。
これはマグカップのコーヒー約3杯分でコーラに換算すると約4リットル、紅茶は約6杯までとなりますが
同じものをここまでということはないでしょうね。妊婦はこの半量以下、6歳以下の子供については
この8分の一以下となります。世界保健機関(WHO)、英国食品基準庁、カナダ保健省、
オーストリア保健・食品安全局等もほぼ同様の基準を示しています。
ご興味のある方は食品安全委員会や日本中毒情報センターのホームページもご参考ください。

2016.1.5

インフルエンザの予防について
インフルエンザは38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛などといった全身の症状がみられ、
稀に肺炎や脳炎、他の細菌を合併する混合感染などで死に至る場合もあるウイルス性疾患です。
幸い特効薬と言われる物がありますが先ずは予防です!
予防にはウイルスが高温多湿に弱いという特性から加湿が有効です。ドアノブ、手摺り等の接触から
手洗い、うがいも効果が期待できます。またインフルエンザといえば予防接種があります。
効果発現までに2週間程度を要するため流行前の接種が望まれます。
ただ毎年流行株を予想して作られるワクチンであり、今シーズンから4価になったとはいえ、
株の一致でも完全に発症を予防できるものではありません。
70%程度から30%以下の効果という年まで様々ですが、有効率が低かった年でも
重症化を80%程度減らすことが出来るという報告(米国CDC)があり、一定の成果を期待できます。
是非ご検討下さい!

2015.12.10

近日、集団発生が報道されているノロウイルス感染についてお話ししておきます。
11月から1月頃が流行ピークで、名前はノロですが全然ノロノロしておらず、防御しないと、
あっという間に感染します。潜伏期間(感染から発症までの時間)は24〜48時間、主症状は吐き気、
嘔吐、下痢、腹痛で、発熱は軽度です。
通常、これら症状が1〜2日続いた後、治癒し、後遺症もありません。
また、感染しても発症しない場合や軽い風邪のような場合もあります。遺伝子型でいくつかに分類され
今シーズンの主流となる見通しのGU.17については従来主流のGU.4と比較して簡易検査キットでの
検出感度が低いと注意喚起されました。感染していても陽性とならない場合もあり、
ノロウイルスに感染していないことを確かめることはできません。
いずれにしても保険適応で検査ができる年齢は限定されていますし、感染予防も特別でなく従前の手洗い、
排泄物・おう吐物の適切な処理、次亜塩素酸ナトリウムによる消毒、食材の加熱調理などです。
尚、特効薬もありませんので落ち着いた対応をお願い致します。

2015/9/29

生活習慣病全般に影響する体重調整について、
UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)の調査によれば、せっかく減量に成功した人のうちの
三分の二以上が短期間のうちに元の体重に戻ってしまう「リバウンド」を経験しているとのことです。
これまでその原因として「気の緩み」や「意志の弱さ」など精神論で語られることが多かったのですが、
最近の研究では満腹感覚のホルモン(レプチン等)と空腹感覚のホルモン(グレリン等)が
関係しているとわかってきました。物理的な食事量ではなくホルモンに調節を受けているのです。
New England Journal of Medicineの2011年の掲載ではダイエットでは満腹感覚のホルモンが減り、
空腹感覚のホルモンが増えるとのことです。またこのホルモンの活性はダイエットを止めた後も1年ほど
元のレベルに下がらないことがわかり、これがリバウンドの1理由として理解されるようになりました。
これを防ぐには運動療法との組み合わせが必要です。ピッツバーグ大学の運動体重研究所は、
減量時の体重維持のための運動を割り出しました。週2000kcal分の運動グループでは体重の10%分を
リバウンドさせず維持。週1000kcal分の運動グループでは8%分をリバウンドさせず維持可能でした。
しかしそれ以下の運動量ではリバウンドが多いとの結果でした。
「ローマは一日にしてならず」継続した運動を心がけましょう!
[健康への意識付けのお手伝い]
ライフスタイルの変化に伴い、糖尿病や高血圧症、脂質異常症などの生活習慣病は増加の一途です。
 これらの疾病は虚血性心疾患(心筋梗塞)をはじめとする心臓病、脳血管障害(脳梗塞)など
を引き起こすと考えられます。 早い時期から、専門知識を持った医師に的確な診断を受け、
治療をうけることは、非常に大切なことです。 充実した人生を送るうえで健康であり続けることは
重要であり、そのためには正しい健康管理を理解する必要があり、それと同時にかかりつけ医との
意思の疎通が大切と考えます。
 I invite you to discuss frankly as much as possible, any questions regarding my services or my fees.
 The better medical service is based on a friendly, mutual understanding between doctor and patient.